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 ■ 冬の月 (930) 2012.02.07

 雨上がり、いつものグランドに上ると、 山の端の月が群雲から出るところだった。 満月に近い月が、暗い空の奥からこちらを照らしていた。 なぜだか身動きが出来ず、しばらく見入った。  きのうは山へ木を掘りに行った。 杉の合間の雑木を掘る。 足下のあちこちに春蘭 連れて行った白い犬が、山の神のように駆け回る。 すぐ横を地割れが走り、それに沿って、杉が倒れていた。 向こうの谷からこちらの尾根まで、魔物が通...

 ■ 雪の後 (929) 2012.01.26

 きのうの午後、丘の上で腐葉土を掻き集めている時に、 雪が降り出した。 雪は瞬く間に村中を包み込んだ。 放り出されたカブトムシの幼虫の脚がもがいていた。 そこにも雪が降り積もった。 雪は無音を重ね降り積もった。 丘の上からは、谷間の景の三分の二は空だ。 空と集落、 それをただ雪が繋いだ。 カブトムシは死ぬだろう。  今日は、震災の三日前に港の寺に植えた桜の手入れに行った。 枯れた枝を下ろし、根鉢を...

 ■ 夜明け (928) 2012.01.14

  松の内も明けて、いよいよ仕事始めという寒い午後、 母が自殺を図った。 携帯に、父から半泣きの電話がかかってきた。 今、病院の処置室前だという。  母は70歳。 ここ十数年、鬱の症状を訴えていた。 父が出かける前に、二階の母の寝室を覗くと、 溜め込んだ睡眠薬をまさに飲み込んだ所だった。 口に指を入れ、背中をたたいても吐かなかった。 そのうち意識を失い、脱力した。 父は老いた身体で二階から母を背負...

 ■ 誰何 (927) 2011.12.23

 寒くなった。 それでも雑木山をさまようと、日だまりに落葉が暖かい。 地べたに寝転んでも清浄な感じなのは、 微生物が死に絶えたからだろうか。 聳えるコナラを根元から見上げると、 空への長い階梯。 土と風と光と水の、 関わった時の流れ。 (流れ?) 寒くなった。 裸の幹枝が、 冬の空を線描し、 地べたのこちらを俯瞰する。 (俯瞰?) わたしは枯葉に寝そべり、 茫然と誰何(すいか)する。 あなたは誰な...

 ■ 猿と月食 (926) 2011.12.15

   飯舘村から南相馬へ下りる山のカーブに猿の集団がいた。 こちらを嘲るように、路傍のあちこちで、思い思いにくつろいでいた。 猿は毛艶が良く、今年の食うことには恵まれたようだった。 人間どもがセシウムだ、ベクレルだとうろたえていた時、 猿は山の恵みをたらふくいただいていたのだ。 あっちの町はカネが下りただの、 あいつは補償金で遊んで暮らしているだの、 被災者同士で汲々、啀(いが)み合い、 虚無と無...

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