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 ■ トラップ (922) 2011.11.19

 
 
 曇天にツワブキの花が光を集めてそこだけが明るい。
 散り残った菊花も路傍に体温を残している。
 霜が降りたので、木の枝にぶら下げたハチトラップを片付けた。
 霜が降りればスズメバチの季節も終わりだ。
 
 9月の活動ぶりは凄かった。
 一日7~8匹はトラップに入り込んで休みなく蠢いていた。
 黄色と黒。
 めいめいが、めいめいの命で助かろうと必死にもがく。
 汚い動き。
 無駄な動き。
 自分の命ばかりが無駄に動いて、汚く、力尽きて、死んでゆく。
 見ていると、こころがざわついた。
 魅せられていたと云っていい。
 
 越冬した女王蜂がどこかに巣を作り、卵を産む。
 卵はミルク色の幼虫になり、蛹になり、時が満ちる。
 脱皮し、翅を乾かし、強靱な躰を得、飛び立つ。
 その後のたくさんの殺生と、生の恍惚。
 それがこんな馬鹿のような罠に入って、助け合うこともなく朽ちてゆく。
 
 私はそれを見ている。
 私はそれを見ている。
 私はそれを見ながら、見られている。
 見ているものは誰か。
 
 一度スズメバチに刺されたことがある。
 クレーンを操作して、植木を下ろしていた時、
 突然耳の後ろに金釘を刺されたような痛みが走った。
 手で叩き落とすとキイロスズメバチだった。
 全身に湿疹が出て、血圧が下がり、心臓が動悸した。
 軽いアナフィラキシーショックだった。
 それからアシナガバチに刺されても、動悸するようになった。
 
 トラップの中の蜂たちは、かさかさに乾いて砕けていた。
 よくみると、さらに小さい虫たちが蠢いて屍体を食い荒らしていた。
 黄色と黒の外殻だけが残され、砕けていた。
 庭土にあけると、風が来て散らしていった。

 私はそれを見ている。
 私はそれを見ている。
 私はそれを見ながら、見られている。
 見ているものは誰なのか。
 



トラップ
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