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 ■ その後(905) 2011.04.10


 4/5

 出来事の意味は後からやってくる。
 日常は続けられる。
 どんなイマジュネーションとも別のところで
 出来事は起きた。
 そのことの意味がつかめないまま、
 昨日と今日が続いてゆく。
 そして日常は唐突に分断された。
 感情が麻痺する。
 人々が死に、
 古里がなくなった。
 そのことの意味がまだわからないでいる。
 風景が変わった。
 あの人もこの人も死んだ。
 でも取り敢えず今日の水を求める。
 今日の食料や燃料を求める。
 預金残高を確かめる。
 責任を誰かに求める。
 誰かの瑕疵をあげつらう。
 世界はもろい。
 そんなことは分かっていたのに、
 理解していた以上に世界はあやうい。
 私の状況はあの人よりマシだ。
 私たちは運がよかった。
 けれどその底で想像もしていなかった出来事が進行する。
 遠くにいる友人は安全な自分のところに避難してこいと云う。
 それはどんな構造だろう。
 それは何をやり過ごし、見失うことなのだろう。
 私の身体はここにある。
 この風景も、この厄災も私の身体だ。
 そのことに狂いはない。
 世界はこうなる。
 言葉はまだ何も潜っていない。
 言葉はまだ以前のままで、
 もう死んでいるのに、生き延びているつもりでいる。


 4/6
 
 内臓をやられているのに成形手術されているちぐはぐさ。
 海が膨らんで思い出も未来も持っていかれてしまった。
 それでもこの土地にへばりついている。
 森の匂いも風の手触りも自分の身体だから。
 春になった。
 陽光がやさしく降り注ぐ。
 それでも私たちのこころはどこかへ持っていかれてしまった。


 4/9

 南相馬市鹿島区大内。
 避難していた父と父祖の土地を確かめにゆく。
 烏岬も右田浜も核戦争後の風景になってしまった。
 漁船が6号国道まで流されていた。
 以前は見えなかった海が、遠く美しい帯のように見えた。
 海の色だけが美しかった。


 4/10

 神話のような日々。
 自分が無力であることも分からない。
 春うらら。
 ウグイスが鳴いていた。
 裏の畑では菜花が咲き、蝶が舞っていた。
 川の水は清く、光がまぶしかった。
 私はクルマのシートを倒し、
 胎児のように眠った。



船

右田
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