TOP > 2010年07月

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 ■ ヒグラシ (900) 2010.07.29

 夜明けにはヒグラシが鳴いています。 しずかに静かに、 金の箔を落とすように。 夕暮れにもヒグラシが鳴いています。 今日いちにちの、たくさんの声を、 寄せて返して、さざ波のように。 そう、それは、 世界のさざ波のようです。 それから一斉になきやみます。 終わってしまったように。 逝ってしまったように。 逝ってしまった人を思い出すように。 山の端に月が出ました。 そうして月も 沈んでゆきました。 私...

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 ■ 水音 (899) 2010.07.28

   災害のような暑さ。 身体の内燃機関を確かめるように仕事する。 動きを分節し、血流を監視する。 首に濡れタオルを巻き、手っ甲を濡らす。 そうして植物を鋏み、芝を刈る。 熊手をかけ、手ぼうきをかけ、埃を払い、水を打って、 今日のおアシをいただく。 夜は葬儀の後片付けを終えた妻を、高速のインターに迎えにゆく。 回転寿司で晩飯にし、犬猫の待っている、家に帰る。 家の両脇には川が流れる。 その水音を聴...

 ■ やまゆり (898) 2010.07.27

 飛行機は離陸するとすぐに山並みと青田の美しい地図を眼下に広げた。 雲の向こうにはまだ雪を頂く山脈が見えた。 思いもよらず空に上がっている。 先ほどまで張り付いていた地表がどんどん遠くなる。 妻は隣の席で静かに目をつむった。 年に一度の東京への出稼ぎ仕事に4時起きして高速を走っていた。 半分ほど来たパーキングでクルマを停めてすぐに妻の携帯が鳴った。 携帯は妻の母の死を告げていた。 妻は一週間前に、...

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